D365BCで発注伝票をはじめとして受注伝票など販売購買系の伝票で明細行のラインタイプの初期値を指定できるようになりましたので紹介します。
この機能はD365BC 2021 Release Wave2で追加された新機能です。
1. 前提:既存仕様での挙動
最初に既存仕様での挙動を説明します。Purchase Order(発注伝票)を新規作成します。
伝票番号を採番する前の画面ですが、既に伝票ラインのTypeにITEMとセットされていることが分かります。これはNAVの時代からの仕様で、初期値はITEMです。
1行目のNo.に品目番号を入力して2行目に行くと、1行目と同様にラインのTypeにはITEMが設定されています。
あまり知られていませんが、実はTypeにはITEM以外の値を指定できます。例えばG/L Accountを指定することができ、その場合はNo.に勘定科目を指定できます。(品目番号を指定できません)
2行目にG/L Accountを入力して3行目に移動するとTypeにはG/L Accountが設定されています。つまり上の行のTypeがコピーされる仕様です。
2. 今回のWaveで追加された仕様
Purchase & Payable Setupを開きます。
Generalタブの中に’Document Default Line Type’という項目が追加されています。ここに初期値’ITEM’が設定されています。
これを例えば’Resource’に変更してみます。変更を確定するため、照会モードに切り替えておきます。
Purchase Order(発注伝票)画面に戻り、発注を新規作成します。
伝票番号採番前の状態でラインのTypeにResourceが設定されていることが分かります。これは Purchase & Payables Setup で初期値指定した値です。
1行目のNo.にResource番号を指定して2行目に行くとTypeにはResourceが初期値設定されています。
2行目のTypeをG/L Accountにすることもできます。勘定科目番号を指定して3行目に行くとTypeがG/L Accountになっていることが分かります。1行目以外は上の行を同じ値をセットする仕様です。これは変わっていません。
ちなみにPurchase & Payable SetupでDocument Default Line Typeにブランクを設定することもできます。この場合はどういう動きでしょうか?
実際にやってみると分かりますが、Commentになります。
おそらくCommentにする深い理由は無くて、単に選択しをアルファベットで昇順ソートして先頭だからだと思います。
同じ設定は Sales & Receivables Setup にもDocument Default Lines Typeという項目はあります。試しにResourceにしてみましょう。
このように初期値がResouceniに設定されています。
受注伝票、発注伝票でラインのTypeの初期値をITEM以外にしたいというのは相当まれなケースだと思いますが、時々受ける問い合わせでもあります。ビジネスにもよりますが、在庫品を扱わないビジネスであれば少し便利になる機能だと思いますので使う価値があると思います。