一般転記設定(汎用転記設定)を構成する


汎用転記設定を構成する – Learn | Microsoft Docs の解説

一般転記グループで説明した通り、Learnの日本語タイトルは「汎用転記設定」だがGeneral Posting Groupを「一般転記グループ」と訳しているため、以下’General Posting Setup’は「一般転記設定」と表記することにする。意味的にも「汎用」的ではなく、「一般」の方がしっくりくる。(「特別」の反対が「一般」。「汎用」だと「特別も一般も」の意味に取れる。)

General Posting Setup(一般転記設定)については 一般転記グループで説明した通りGeneral Business Posting Group(一般ビジネス転記グループ)とGeneral Business Product Groupの組み合わせで勘定科目を決めるための決定表である。

今回は、なぜこの2つの組み合わせで決まるようにしたのか、またこの2つをどう使い分けるか、を説明する。

まずはGeneral Product Posting Groupから。Learnの日本語訳は「一般製品転記グループ」だが、製品以外の品目(ex.商品、サービス品)も対象なので「一般品目転記グループ」のほうがしっくりくる。

Cronusの設定は以下の通り。Raw MaterialとRetailは別のPosting Groupになっている。会計的には原材料と商品を仕入れた場合、別の仕入勘定科目にしておく事がある。これを実現するには、品目マスタに登録した品目が原材料であればRaw Mat、商品であればRetailのPosting Groupを割り当てる。そしてGeneral Posting Setupで両社のGeneral Product Posting Group(と適切なGeneral Business Posting Groupの組み合わせ)に対して仕入れ勘定をそれぞれ原材料費や商品仕入の勘定にしておく。

続いてGeneral Business Posting Group(一般ビジネス転記グループ)。

Cronusの設定は以下の通り。Cronusは自社が英国の設定で「国内」と「EU内」と「EU外」に分けている。売上を「国内売上」「EU内売上」「EU外売上」のように分けたい場合はこのようにするとよい。ただしこれはあくまで一例であり、売上を事業別で分けたい場合にはGeneral Business Posting Groupを事業別に分類する。いずれにせよ、販売であれば得意先によって決まり、購買であれば仕入先によって決まる事に注意する必要がある。

ルールはいたってシンプルなので、一度理解してしまえば覚えたり思い出したりするのはそれほど苦労しないだろう。ただし、実際の要件に応じて売上や仕入れやその他の勘定をどのように分類し、General Business Posting Group(一般ビジネス転記グループ)とGeneral Product Posting Group(一般品目転記グループ)をどう分類し、General Posting Setup(一般転記設定)をどのように設定するかは一定の経験を積むまでは悩むことになるだろう。

例えば「事業別に売上科目を分けたい」という要件が仮にあったとする。これだけでは General Business Posting Group(一般ビジネス転記グループ)で事業を分けるのか、General Product Posting Group(一般品目転記グループ) で事業を分けるのかが決まらない。なぜなら、事業が品目との関係が強いのか、顧客との関係が強いのかを見極める必要があるからだ。(そして現実には混在していたりする。。個人的には得意先/仕入先、品目の2つの要素に加えて「取引タイプ」のような要素があった方が良いと考える。そうすれば「同じ得意先から同じ品目を受注した場合に営業経由の注文か、EDIでの注文かで売上勘定を分けたい、というような要件に対応できる。現状のBCでは勘定科目を同じにしてDimension Value(分析項目値)を分けるという方法で回避するしかない。)

売上勘定、仕入勘定を中心に説明を進めたが、General Posting Setupが決定する勘定科目は他にも多数ある。 リスト画面から照会モードで各行の詳細をカード画面形式で見ることが出来るので見てみよう。

項目は4つのセクションに分かれている。Generalセクションは Business Posting Group(一般ビジネス転記グループ)とGeneral Product Posting Group(一般品目転記グループ) の組み合わせとか説明文言なので割愛。

Salesセクションには売上勘定を決めるSales Acountがある。ほかには売上戻し(Credit Memo)の勘定科目や値引(Discount)のための勘定科目、前受(Prepayment)のための勘定科目などを設定できる。

PurchaseのセクションはSalesと似ている。仕入勘定以外に仕入れ戻し、値引き、前払いなどの勘定科目を設定できる。面白いところでは固定資産(Fixed Asset)の値引き勘定科目を設定できるようだ。

Inventoryのセクションでは売上原価勘定など、在庫の受け払いなどでBS勘定からPL勘定になるときのPL側の勘定を主に設定する。

以上を踏まえてLearnの文書を読めば表記揺れや用語の字面に惑わされずに読み解けるのではないか思う。