在庫転記グループの設定および割り当て


在庫転記グループの設定および割り当て – Learn | Microsoft Docs の解説

在庫転記グループは名前の通り、在庫の勘定科目を決定するための仕組みである。例えば受発注での入出庫、あるいは製造への払出や受入などで在庫が動いたとき、適切な勘定科目を割り当てる必要がある。

具体例としてPurchase Order(発注)の入庫請求を取り上げる。Cronusで以下の発注を開き、転記のプレビューを行う。転記プレビューはSales Order(受注)と同様、PostingタブからPreviewを選択すると照会できる。

G/L Entriesを見ると5明細あり、2110: Resale Itemsという勘定科目の明細がある。これは勘定科目表を照会すると分かるが在庫資産の勘定である。

この在庫資産勘定 2110: Resale Items はInventory Posting Setup(在庫転記設定)によって決まる。虫眼鏡アイコンから’Inventory Posting Set’をキーワード検索して機能を実行すると以下の画面が表示される。Inventory Posting SetupはLocation(場所)とInventory Posting Group(在庫転記グループ)の組み合わせで決まる。Customer Posting Group(得意先転記グループ)が勘定科目を直接持っていたのとは異なり、在庫に関しては在庫転記グループが直接持たず、Location(場所)との組み合わせで持つところがポイントである。在庫資産の勘定科目はInventory Account 列で持っている。ここの2110が使用されている。

Location(場所)はどこで決まるかというと、Purchase Order(発注伝票)の明細で決まる。

Inventory Posting Groupは品目マスタで決まる。Purchase Orderに品目を入力した時点で品目マスタのInventory Posting Groupが引用され、発注伝票の明細にセットされる。(非表示項目なので画面上では見えない)

Inventory Posting Group(在庫転記グループ)を確認しておこう。Cronusは一つしかないのであまりピンと来ないかもしれないが、通常はここに複数の転記グループが並ぶ。例えば原材料と製品では一般的に別の勘定科目にするため、在庫転記転記グループを分けておく。(システム的には場所を分ければ勘定科目を分けられるが、あまりお勧めはしない。)

在庫資産の勘定科目を例にして説明してきたが、Inventory Posting Setup(在庫転記設定)はほかにも勘定科目を持っている。(Customer Posting Groupが値引勘定を持っていたのと同じである。)たとえば、右側は製造で使う各種勘定科目であり、分かりやすいところだとWIP Accountには仕掛勘定を定義する。

この設定が勘定科目の決定に影響することを体感するには以下のように設定を変えてみるとよい。例えばLocation=Blank, Inventory Posting Group=Resaleの組み合わせのInventory Accountを2111にしてみる。(業務的にはおかしい設定だが、実験用なのでよしとする)

伝票画面に戻って転記プレビューする。

すると在庫資産の勘定科目が2111になる。

プレビューをキャンセルして伝票に戻り、今度はLocationをBlankからEastに変えて転記プレビューする。

すると、在庫資産の勘定科目が2110に戻った。これはInventory Posting GroupでLocation=Eastの明細は変更していない(つまり在庫勘定が2110である)からだ。

Customer Posting Groupとの違いをもう一度見比べてみるとポイントが違う点と同じ点がわかるはずだ。最終的に勘定科目を決定する点は同じで、Customer Posting Groupと違って組み合わせで決めている。組み合わせで勘定を決める際の決定表はPosting Setupであり、これは次章以降で出てくる他の転記グループにもあてはまる。